リハビリジャーナル  ~健康志向型科学的アプローチ~

日々、クライアントと健康を追い求めています。

The 18th-1  「いい脂肪」はやせて健康になる!! ~やって欲しい食事術~

本日より「いい脂肪」がカラダを健康にする! 
というお題で4回に分けて解説してまいります。
 
 
~Part1~(←本日はココ)
〇 愚かな栄養指導のはじまり・・・
〇「コレステロール」は血液をドロドロにしない
コレステロールが「細胞膜」の材料になる
 
~Part2~
〇 体にいいアボカドの脂質は「マーガリン並み!」
〇「いい脂肪」も「悪い脂肪」もラベル上(表示上)は「脂肪」
〇「炎症油」を「抗炎症油」の30倍摂っている
〇「植物由来だから健康である」は、”大ウソ”である
 
~Part3~
〇「いい脂肪」---心臓に負担をかけない
〇「悪い脂肪」---「動物のえさ」を混ぜて消費期限を長くしている
〇 悪い脂肪を2%多く摂ると、「心疾患リスク」が23%上がる
 
~Part4~
〇 ”脳卒中を予防する”のは、「動物性脂肪」
低脂肪乳より「全乳」のほうがやせる
〇 ”ハーバード栄養学の権威”が導き出した「結論」
 
 
それでは、Part1をご説明してまいります。
 
 
 
〇 愚かな栄養指導のはじまり・・・
 
『低脂質キャンペーンは科学的根拠に乏しく、思わぬ健康被害を招くということが、徐々にわかってきた。』
フランク・フー博士&ウォルター・ウィレット博士(ハーバード大学、2001年)
 
ようやく、今世紀に入り正しい科学的根拠に則った栄養理論が確立されつつあります。
 
それまで全世界へと誤った栄養指導が拡散されてきました。
これにも、はじまりがあります。
 
第二次世界大戦に遡ります。(少し長いので、どうぞ飛ばし読みで)
 
近代栄養学の巨人のひとり、
アンセル・キーズ博士は、
現在までの栄養学の形成において
主要な役割を果たしました。
 
キーズ博士は、米国陸軍の栄養の基礎となる
「Kレーション(戦闘糧食)」開発の指揮を執った。
また、有名な「ミネソタ飢餓実験」を行い、
厳格なカロリー制限の影響を調べました。
そんな、彼のもっとも輝かしい功績は、
食事と疾患について長期的な観察研究を行った
『7か国研究』です。
 
飢えと栄養失調が栄養学上の重要なテーマでした。
『7か国研究』を続けるなかで、
キーズ博士は、奇妙な矛盾に衝撃を受けました。
 
戦勝国であるアメリカ人の栄養状態は、
他国と比べて圧倒的に良いのに、
心臓発作や脳卒中を起こす
確率が優位に高かったことにです。
 
1951年、
キーズ博士は、
イタリアの労働者が心疾患に罹患する確率が
低いことに気づきます。
ナポリ(イタリアの都市)の地中海食に注目します。
当時のアメリカの食事に含まれる”脂質”が、
食事全体のカロリーの40%だったことに対し、
地中海食は、20%でした。
 
そして、地中海食は、
動物性食品と飽和脂肪酸(動物性脂質)の
消費量が少ない事に着目しました。
 
そこで、
キーズ博士の仮説は、
「血中のコレステロール値が高いことが心疾患の原因になる。そして食事で摂る脂質を少なくすればその予防になる」
というものでした。
 
1959年、
満を持して栄養指針を公表しました。
1)太ってはいけない。太っているなら減量すること。
2)「飽和脂肪酸」を制限すること。つまり、牛肉、豚肉、ラム肉、ソーセージ、マーガリンなどに含まれる脂質、それから乳製品に含まれる脂質を制限すること
3)固形脂肪ではなく「植物油」を使うこと。ただし、脂質は食事による摂取カロリーの30%未満に抑えること
 
キーズ博士の指針は、
世界中で半世紀にわたり
そのままの形で受け継がれました。
 
実は、第二次世界大戦後に
行われた栄養研究の誤りが
50年以上にわたって
世界中で普及しました。
 
ここからは余談ですが、
なぜ、見直されなかったのか?
 
私の考察としては、
1)国家を超えた大規模研究であったこと。
2)栄養学の権威が発表したこと。
3)一見理解しやすい内容であったこと。
4)学校教育で刷り込まれているため、そもそも疑問を抱くことがなかったこと。
だと、思っています。
 
本質に迫ってもいない間違った栄養学が
いつの日か誰も疑いもしない「常識」となっていました。
 
我々のサービスも、
こんな「常識」に縛られないように
常に客観的に振り返りながら、
教科書的に上手く行くと思われる行為(治療)も
必ず、評価という定点観測し思わぬ結果に至ってないか
見直す必要があります。
 
上記の研究も
予算が必要だったこともありますが、
冷静に定点観測をしていれば、
キーズ博士の理論が間違いだったことは、
解明されたはずです。
 
”思い込み”という「常識」に捉われないようにしましょう!
 
話しを戻します。
 
 
〇「コレステロール」は血液をドロドロにしない
少し専門的な疾患の話しになりますが、
心疾患は「アテローム動脈硬化」により引き起こされます。
プラークが血管内壁に付着して動脈が狭くなったり固くなってしまうこと。)
よく、コレステロール値が高いから動脈が詰まると言われています。
しかし、事実はコレステロール値が高いからではなく、
血管内壁の損傷部位に炎症反応としてプラークが出来ることで、
「アテローム動脈硬化」となることがわかっています。
コレステロールは、その「プラーク」の一部です。
大元は、損傷したことと過剰な炎症作用の結果として
プラークが形成されているのです。
コレステロールは根本原因ではありません。
(肥満理論では、血糖値のような存在ですね)
 
よって、心臓発作や脳卒中
『炎症性疾患』となるのです。
 
つまり、
炎症させる原因が
心臓発作や脳卒中の根本原因となるのです。
・ストレス
・運動不足
・酸化した食事
など・・・
癌と同じく
何年、はたまた何十年という
期間を経て
一つ一つの細胞を炎症させて
蝕んでいく。
これが、世界で研究が進められている
いわゆる「慢性炎症」のことなのです。
(長寿研究でも、百歳を超える人は「慢性炎症」がないことが判明しています。)
 
 
コレステロールが「細胞膜」の材料になる
コレステロールは、長い年月をかけて
世界中で悪者扱いされてきました。
最近では、善玉や悪玉といった表現もされていますが、
実は両方必要なんです。
というか、生理学的には悪玉も絶対に発生してしまいます。
(量と質の問題はありますが)
私は、分子整合栄養医学や精神医学など学んできたうえで
生命維持どころか、
人を正しく成長させるために、
病気から身を守るために、
頭をよくするために、
メンタルを安定化させるために、
言い出したらキリがないほどに、
重要なものだと認識しています。
 
人間の細胞壁コレステロールで出来ていますし、
脳の約60%は脂質(一種がコレステロール)で出来ています。
(水分子を抜いたうえで)
その中でも特に魚の脂質で有名なDHAが主な構成要素です。
 
そんな脳神経細胞にとっても、
全身の細胞壁にとっても重要な
コレステロール」を抑えすぎることの方が、
人間にとっては大病の原因となってしまいます。
 
ここまでの解説で、
程度の差はあれど、
如何に「低脂質の食事」が
健康に悪いかがご理解頂けたかと思います。
 
次回からは、
”脂質”の質の部分に触れていきたいと思います。