リハビリジャーナル  ~健康志向型科学的アプローチ~

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The 17th‐2 「たんぱく質」への過剰期待 ~肉は敵か!味方か!?~  

本日は、
たんぱく質」への過剰期待~肉は敵か!味方か!?~
と題し3回に分けて解説しております。
 
~Part1~
〇 炭水化物、たんぱく質、脂質・・・「不要」なのはどれ?
〇 「皮をはがした鶏むね肉」は糖質並みによくない
〇 「たんぱく質を飲み込む」と胃がインスリンを増やす
 
~Part2~(←本日はココ)
〇 食べ物を「見た」だけで体が太ろうとする
〇 「牛乳」が出すインスリンは”パン以上”
〇 「GLP-1」が腹持ちを調整する
〇 「赤身肉」を食べると体重が毎日450グラム増える
 
~Part3~
〇 「低脂肪牛乳」は体重に影響しない
〇 「満腹感」を高める食べ方
〇 「乳製品」はいくらでも摂っていい
〇 「プロテイン・バー」はヘルシーでも何でもない
 
以上のテーマで話しを進めてまいります。
 
 
 
〇 食べ物を「見た」だけで体が太ろうとする
前回、「インスリン」を増やす 
「インクレチン効果」について解説しました。
 
今回は、もう一つの要因である
「頭相」について解説致します。
 
「頭相(脳相)」とは、
胃液を分泌させる反応経路の一つです。
(他には、「胃相」「腸相」があります。)
”視覚や嗅覚、味覚によって反射的に胃液を分泌させること”
言い換えると
「匂ったり」
「見たり」
「食べたり」
することで「胃液」がでる反応経路のことです。
 
たとえば、
以前紹介した「サッカリン人工甘味料)」で
うがいしただけでも「インスリン」は
上昇することがわかりました。
 
なんと(我々にとって)不都合な真実なんでしょう・・・・
 
「高たんぱく質」の太らせる原因は、
「カロリー」ではなく
”インクレチン効果”や”頭相”の効果による
インスリンの分泌を促す効果」にあったのです。
 
しかし、
飲食業界をけん引する大企業にとって
不都合な真実があります。
それはなんと、
「脂質」は、
インスリン」の分泌を促す効果が
”最も少ない”ということなんです。
 
「低脂肪」や「コレステロールゼロ」
などを販売していた企業には嫌な事実ですね。
 
〇 「牛乳」が出すインスリンは”パン以上”
たんぱく質」の種類によって
インスリンの分泌効果」は大きく異なりますが、
 
「乳製品」は、
特に強力な「インスリン分泌促進」の刺激物となります。
「乳製品」は、
”GI値”としては、
極めて低い(15~30)です。
 
しかし、
インスリン分泌指数”としては、
極めて高い(90~98)のです。
 
これは、「乳製品」に含まれるたんぱく質によるものです。
そのなかで、最も影響を及ぼしているのが、
プロテインの王様である
ホエイプロテイン」なんです!!
 
なんと、
「GLP-1」が298%も上昇します!!
(前回説明したインクレチン効果の原因物質)
 
*余談ですが、
オリーブオイルのような「純脂質」と呼ばれるものは、
「血糖」も「インスリン」も上げません。
しかし、我々の食事は「純脂質」のまま食べることは、
ほとんどありません。
そこが、問題なんです。
 
 
それでは、話しを戻します。
 
たんぱく質も様々あり、
”野菜に含まれるたんぱく質”は、
インスリン」をわずかしかあげません。
しかし、
ホエイプロテインや肉(魚介類も含む)”は、
多量のインスリン分泌を促します。
 
 
では、
「乳製品」や「肉」は太る”もと”と
言えるのだろうか?
 
ことはそんな単純ではありません。
 
前回から解説している「インクレチン」は、
”満腹感”にも大きな影響を与えているのです。
 
〇 「GLP-1」が腹持ちを調整する
インクレチンは、
そもそもの働きとしては、
「胃内容物の排出」という重要な役割を担っています。
通常、
胃の働きとして、
”食べ物を溜め込み”
”胃酸と混ぜ合わせ”
”ゆっくりと攪拌した食べ物を腸へおくる”
ことが重要な機能です。
 
ここまで説明した
胃の重要な機能を果たすスイッチとなるのが
「GLP-1(インクレチン)」なんです!
 
「GLP-1」がしっかりと働くと
食べ物が長時間にわたり「胃」で留まるので、
「腸」にゆっくりと食べ物が送り出されます。
結果的に、
「腸」での栄養吸収のスピードが遅くなり、
「血糖値」などの上昇が、
緩やかになります。
 
そして、一定値に維持されます。
この効果が、
長い「満腹感」に影響します。
 
長い時間「血糖値」が維持される
(血糖値の乱高下がない)ことにより、
「満腹感」が維持されるのです。
 
私もそうですが、
頭が混乱してきました!
 
一旦整理したいと思います。
 
”インクレチン”と”頭相”の働きにより、
インスリン」を分泌をさせてしまう。
 
しかし、
一方で”インクレチン”の
「GLP-1」は、「満腹感を持続させる」。
 
じゃあ、
たんぱく質は太るの?
どうなの?
 
実は、たんぱく質の種類が重要なのです。
そのカギを握るのが
「GLP-1」です。
 
ある実験で、
「エキセナイド」という
「GLP-1」と同様の働きをする製剤を
用いた実験が行われました。
この実験結果では、
被験者の体重が減少したのです。
 
ということは、
”満腹感の効果”が
インスリン上昇による体重増加効果”を
上まったということになります。
 
よって、
ここからわかるのが、
たんぱく質の種類”によって、
「太る」か「痩せる」を決めることになります。
(とても単純に言えばですが)
ちなみに、
「乳製品」や「ホエイプロテイン」は、
痩せやすい食材ということが言えます。
 
 
 
〇 「赤身肉」を食べると体重が毎日450グラム増える
それでは、「赤身肉」はどうなのか?
昔から、「肉を食べると体重が増える」と
考えられてきました。
それは、たんぱく質と脂質が多いため
「カロリー」が高いことからでした。
しかし最近では、
肉には「炭水化物」があまり含まれていないので
肉は痩せると考える人が増えてきています。
 
あらためて、
どちらが真実なのでしょうか?
 
1992年にヨーロッパで52万1448人を
対象とした大規模な栄養を
調査するためのコホート研究が行われました。
 
5年にわたる追跡調査の結果、
肉全般(赤肉、鶏肉、加工肉)は、
「総カロリー摂取量」を調整しても、
「体重の増加」と深い関連があることがわかりました。
 
毎日、「余分に肉を摂取する」と
およそ”450グラム”体重が増加しました。
 
これは、現代の食材の調理の仕方にも関係しています。
 
大昔は、肉はまるごと食べていました。
骨からだし汁をとり、
肝臓、腎臓の内臓を食べ、
血液すらも食べていました。
こういった食事方法は、
後進国をみればわかります。
現代においても、
まるごと食べる文化が根付いています。
 
先進国は、どうでしょうか?
おいしいところばかり、
見た目が良いところばかり、
食材として選択しています。
 
要は、”太りやすい種類のたんぱく質”ばかり
摂取していることになるのです。
野菜も果物も何でもですが、
まるごと食べることの大切さが
分かる内容ですね!
 
 
 
本日の解説はここまでです。
次回は、Part3として解説していきます。